うつ病で休職…
傷病手当金はいくら?
うつ病・適応障害での休職も傷病手当金の対象です。支給額・診断書の書き方・申請の流れ・「会社にバレるか」までまとめて解説。
うつ病・適応障害での休職も傷病手当金の対象。医師が「労務不能」と証明すれば、月給の約2/3 が最長で通算1年6ヶ月まで支給されます。
月給30万円で90日休職 → 日額 6,667円 × 90日 = 約60万円が目安。
精神疾患も傷病手当金の対象
傷病手当金の対象は「業務外の病気・怪我による労務不能」。これは身体の病気に限らず、うつ病・適応障害・パニック障害・双極性障害などの精神疾患も含まれます。健康保険法 第99条に基づく給付で、病名を問わず「就労困難」であれば支給されます。
ただし業務が原因と認定される場合は労災の対象になります。長時間労働やハラスメントが起因するうつ病は労災扱いになる可能性があり、その場合は労働基準監督署に労災申請します。労災と傷病手当金は同時に申請可能ですが、両方を同時に受給することはできません(労災優先)。
支給額の目安
基本的な計算式は「(過去12ヶ月の標準報酬月額の平均 ÷ 30日) × 2/3」で 1日あたりの支給額(日額)が決まり、それを休業日数分(初日から数えて4日目以降)掛けて総額が計算されます。
| 月給(額面) | 日額の目安 | 90日休職 | 180日休職 |
|---|---|---|---|
| 25万円 | 約 5,560円 | 約 50万円 | 約 100万円 |
| 30万円 | 約 6,667円 | 約 60万円 | 約 120万円 |
| 40万円 | 約 8,890円 | 約 80万円 | 約 160万円 |
| 50万円 | 約 11,113円 | 約 100万円 | 約 200万円 |
月給と休職日数を入れるだけで、自分のケースの金額を即計算できます。
診断書の書き方(重要)
傷病手当金の受給で最も重要なのは、「労務不能」を医師に明記してもらうこと。支給申請書の「療養担当者記入用(医師記入欄)」に主治医が記入します。以下のポイントを主治医と共有してください:
- 病名:うつ病(F32)・適応障害(F43.2)等、ICD-10 の傷病名
- 労務不能の期間:「〇年〇月〇日から〇年〇月〇日まで就労困難」
- 症状の具体的な内容:不眠・意欲低下・集中力低下・出勤困難 等、就労を妨げる症状
- 診療開始日:初診日と休業指示の日付
診察のたびに1ヶ月ごとに更新するのが基本。健康保険組合によっては「継続」であっても毎月新しい記入を求められます。
申請の流れ(精神疾患特有の注意点)
基本の流れは他の傷病と同じですが、うつ病特有のポイントがあります:
- 主治医に労務不能の証明を書いてもらう:初診時に「傷病手当金を申請したい」と伝え、書式(申請書)を渡す。診療科は精神科・心療内科どちらでも OK。
- 会社に事業主証明を書いてもらう:「事業主記入用」の欄に、休業期間と給与の支払い状況のみ記入。病名は伝えなくて OK。
- 健康保険組合または協会けんぽに提出:まとめて申請より、月ごとに提出する方が振込サイクルが安定します。
- 審査後、指定口座に振込:申請から2〜4週間が目安。
ポイント:精神疾患は「症状の波」があり、途中で復職→再休職になることも多いです。この場合、令和4年改正で通算1年6ヶ月までカウントされるようになりました。復職と再休職を繰り返しても、実際に受給した日数の合計で判定されます。
よくある不安・質問
会社にうつ病だとバレる?
病名はほぼバレません。事業主証明では休業期間と給与支払い状況しか確認しないので、会社に病名を伝える義務はありません。医師記入欄も医師が直接記入した後は封をしたまま健康保険組合に送るのが一般的なので、会社の目に触れることはありません。ただし「休職中である」ことは会社と共有する必要があります。
診断書はどんな書き方をしてもらう?
「労務不能」の明記が最重要です。傷病手当金は「病気により就労が困難」であることが受給条件なので、医師には「〇〇(うつ病 / 適応障害等)により就労困難と認められる」ことを診断書と支給申請書の療養担当者記入欄に明記してもらう必要があります。診察のたびに1ヶ月ごとに更新するのが原則です。
パニック障害・適応障害・双極性障害でも対象?
対象です。うつ病以外の精神疾患でも「業務外の傷病」で「労務不能」であれば、傷病手当金の対象になります。パニック障害・適応障害・双極性障害・不安障害・PTSD 等、医師が労務不能と判断すれば申請可能です。ただし業務が原因と認定される場合(労災)は傷病手当金ではなく労災の休業補償の対象になります。
復職して再度休職した場合、期間はどうカウントされる?
令和4年1月1日改正で通算されるようになりました。以前は「支給開始から1年6ヶ月」で、途中で復職して期間を過ぎると支給が終了していましたが、現在は「実際に支給された日数の通算」で1年6ヶ月分カウントされます。復職→再休職の場合、休職日数の合計が通算1年6ヶ月に達するまで受給可能です。
転院した場合はどうなる?
問題なく継続可能です。転院した後は、新しい主治医に支給申請書の療養担当者記入欄を書いてもらいます。転院を機に病名や労務不能の判断が変わらない限り、支給は続行されます。転院時期・理由は健康保険組合には報告不要ですが、支給申請書の記載が変わることは伝わります。
退職後も傷病手当金は続く?
条件付きで可能です。①退職前に継続して1年以上健康保険に加入していたこと、②退職日に傷病手当金を受給しているか受給できる状態だったこと、この両方を満たせば、退職後も残りの支給期間(通算1年6ヶ月まで)受給を続けられます。ただし退職日に一度でも出勤すると資格を失うので注意が必要です。
労災と傷病手当金の違いは?
業務が原因か・業務外かで分かれます。長時間労働やハラスメントなど業務が原因のうつ病は労災の対象になり、傷病手当金は支給されません。労災の休業補償給付は給付率が高く(賃金の約80%)、休業期間も無期限(療養継続中)ですが、業務起因性の認定が厳しいのが実務。労災申請と傷病手当金は同時申請できます(労災不認定時は傷病手当金へ)。