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傷病手当金 / 退職後継続給付

退職後も傷病手当金は
もらえる?

退職後も条件を満たせば通算1年6ヶ月まで受給を継続できます。3つの条件・退職日の落とし穴・失業保険との関係まで実務で迷うポイントを解説。

最終更新2026-07-05参照全国健康保険協会 / 厚生労働省 / ハローワーク読了目安7分

退職後も傷病手当金は継続して受給できます。ただし3つの条件をすべて満たすことが必要で、退職日の過ごし方ひとつで受給資格を失うこともあります。

在職中に受給していた場合、資格喪失後も通算1年6ヶ月までの残期間分は元の健康保険から支給されます。

退職後継続給付の3条件

健康保険法第104条に基づき、以下の3つすべてを満たしたときのみ、退職後も傷病手当金を受給し続けられます。

  1. 健康保険の被保険者期間が継続して1年以上:資格喪失日の前日まで、切れ目なく1年以上加入していたこと。転職で健保が変わっても、間に1日でも無保険期間があると通算されません(任意継続・特例退職を除く)。
  2. 資格喪失時に傷病手当金を受給しているか受給できる状態:退職日時点で実際に受給しているか、待期3日間を満了して労務不能の状態にあったこと。待期を満了する前に退職すると継続給付は受けられません。
  3. 資格喪失後も継続して労務不能:退職日と資格喪失日以降、途切れることなく労務不能である必要があります。一度でも「働ける状態」になれば継続給付は打ち切り、再度悪化しても復活しません。

在職中の傷病手当金と異なり、退職後は「連続した労務不能」が絶対要件。復職→再休職を通算できる令和4年改正の恩恵は受けられない点に注意してください。

退職日に出勤してはいけない理由

退職日に少しでも出勤(挨拶回り・私物引き取り・書類受け渡し等)すると、「その日は労務可能だった」と判定されます。継続給付の条件②「資格喪失時に労務不能」を満たさなくなり、退職翌日以降の傷病手当金は一切受給できなくなります。

実務での対処:

  • 退職日は自宅で過ごし、出社の必要があれば有給消化中や退職日の前日までに済ませる
  • 私物・書類の受け渡しは郵送か代理人(家族)で対応
  • 会社が退職日出社を求めてきたら、退職日を1日ずらす交渉をする

支給額の目安

計算式は在職中と同じで「(過去12ヶ月の標準報酬月額の平均 ÷ 30日) × 2/3」。退職後も元の健康保険での日額が引き継がれます。

月給(額面)日額の目安残90日残180日
25万円約 5,560円約 50万円約 100万円
30万円約 6,667円約 60万円約 120万円
40万円約 8,890円約 80万円約 160万円
50万円約 11,113円約 100万円約 200万円
傷病手当金の計算機を使う

月給と休職日数を入れるだけで、自分のケースの金額を即計算できます。

※「残◯日」は退職時点までに消化していない支給可能日数。

失業保険との関係

傷病手当金と失業保険(基本手当)は同時に受給できません。両者は前提条件が真逆で、傷病手当金は「労務不能」、失業保険は「働ける状態で求職活動中」が支給要件のため、両立しません。

項目傷病手当金失業保険(基本手当)
前提条件労務不能求職活動中
給付率月給の約 2/3賃金日額の 45〜80%
給付期間通算 1 年 6 ヶ月90〜330日

実務での流れ:退職後まず傷病手当金を受給しつつ、ハローワークで失業保険の受給期間延長を申請(本来1年→最長4年に延長)。傷病手当金の受給が終わり、就労可能になったら延長解除を申請し、そこから失業保険を受給します。この順番だと最大 4 年弱にわたって手当を切らさず生活できます。

退職後の申請の流れ

  1. 在職中に受給の準備を済ませる:退職前に待期3日間を満了し、労務不能の証明(診断書 / 医師記入)を取っておく。
  2. 退職後は月ごとに申請:療養担当者記入欄(医師)と被保険者記入欄(本人)のみで完結。事業主証明は退職後分は不要。
  3. 提出先は元の健康保険組合・協会けんぽ:国保に切り替えても提出先は変わりません。振込も元の健保から。
  4. 働ける状態になったら継続給付は終了:ハローワークで受給期間延長を解除し、失業保険の受給に切り替える。

よくある不安・質問

  • 退職日に出勤したらどうなる?

    退職日に出勤すると継続給付の対象外になります。継続給付の条件は「資格喪失時に労務不能である」こと。挨拶や私物の引き取りで少しでも出社すると「その日は労務可能だった」と判定され、退職翌日以降の傷病手当金は受給できなくなります。手続き上どうしても出社が必要な場合は、退職日を1日ずらすか、郵送・代理人での対応を会社に相談してください。

  • 退職後に復職→再度体調悪化。継続給付は再開できる?

    できません。退職後継続給付は「資格喪失時に受給していた傷病について、労務不能が連続している」ことが前提です。一度でも復職して労務可能な状態になると継続給付は打ち切りになり、再度体調が悪化しても継続給付として復活しません。ただし在職中の場合は令和4年改正で通算1年6ヶ月まで復職→再休職を通算できます(在職中と退職後で扱いが違う点に注意)。

  • 任意継続被保険者になったら継続給付は受けられる?

    受給の可否は加入経路で決まります。退職前に受給資格を満たして「退職後継続給付」として引き続き受給する場合は問題ありません(任意継続の被保険者としてではなく、資格喪失時点の権利として支給)。一方、任意継続被保険者になってから新たに発症した傷病については傷病手当金は支給されません(任意継続被保険者には傷病手当金の給付なし)。

  • 国民健康保険に切り替えても継続給付は続く?

    続きます。退職後継続給付は「資格喪失前の健康保険」からの給付なので、退職後に国保に切り替えても、傷病手当金は元の健康保険組合や協会けんぽから振り込まれます。国保には傷病手当金の制度がありませんが、継続給付は別建てで支給されるので混同しないでください。申請書の提出先も退職前と同じ健康保険組合・協会けんぽ支部です。

  • 失業保険(基本手当)と同時にもらえる?

    同時受給はできません。傷病手当金は「労務不能」、失業保険は「働ける状態で求職活動中」が条件で、両立しません。ただし傷病手当金の受給中は失業保険の受給期間を延長申請できます(本来1年→最長4年)。手当金の受給が終わって働ける状態になったら、ハローワークで受給期間延長解除を申請し、そこから失業保険を受給する流れになります。

  • 転職して新しい健保に入ったら?

    転職して労務可能になった時点で継続給付は終了します。新しい会社で健康保険に加入するのは「労務可能」の証拠になるため、以降の日はもらえません。逆に「転職前に労務不能で退職→まだ再就職していない」期間は、通算1年6ヶ月内であれば継続給付が続きます。求職活動を始める段階で継続給付は打ち切り、失業保険への切り替えを検討してください。

  • 継続給付を受けている間、家族の扶養に入れる?

    傷病手当金の日額次第です。健康保険の扶養条件は「年収130万円未満(60歳以上や障害者は180万円未満)」で、傷病手当金もこの収入に含まれます。日額3,611円(130万円 ÷ 360日)を超えると扶養に入れないのが一般的な運用。日額を切って扶養に入る場合は、扶養する側の健保組合に事前確認してください(組合により運用が異なる)。

  • 退職後、支給申請書の事業主証明は誰が書く?

    退職後の期間分は事業主証明は不要です。在職中の期間分は元の会社に証明を依頼しますが、退職以降の期間については「療養担当者記入欄(医師)」と「被保険者記入欄(本人)」のみで完結します。元の会社と関わりたくない場合でも、退職後分の申請なら会社に連絡せず単独で申請できます。

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参考ソース